サスティナブル建築賞総評

「日本デコラックス株式会社 本社事務所」(小規模建築部門) 本建物は建材の製造販売などを行っている日本デコラックス株式会社の本社ビルであり、延床面積は900㎡足らずの小規模なオフィスビルである。

本建物はまず徹底的に断熱性能を高めた建物となっている。外断熱を採用し断熱材から1㎝程度の隙間をあけて外装材の大理石を張るなどして魔法瓶効果も期待している。また直天井で躯体の熱容量を活用できるように工夫されており、負荷平準化による設備容量の縮小が達成されている。また開口部には高い断熱性と採光面積確保を両立させるための木製サッシ3重ガラスを採用している。木製のサッシは米国製の住宅用量産品であり、高性能・高機能かつ廉価なものである。また、このサッシのサイズに合わせての建築計画がなされている。

建物中央に3層の吹き抜けを設け、その周囲にガラスパーティションで区画して事務室を配置し採光を行っている。オフィスの証明はLEDであり150ルックスをベースに手元灯を併用しており若干暗い感じはあるがフリーアドレスであり、ある程度は個々の好みにあった空間にて執務ができるようすることによる省エネルギーを目指している。

空調熱負荷処理においては空調機をダブルコイルとし、冷房時には井水によってまず顕熱処理をし、その後空冷チラーより供給される冷水によって潜熱・顕熱処理をするという潜顕分離空調を井水という自然エネルギーを活用することに達成しており、さらに空調機を通過した井水は空冷チラーの周りの植栽に散水し、チラー周りの空気温度を下げることに利用している。

これらの手法によって低価格で徹底的に負荷を削減したことによって年間のエネルギー消費量は223MJ/㎡年と非常に小さなものになっており、これに対して33kWの太陽電池での発電量をマッチさせることによってnZEBが達成されている。また本建物でくみ上げられる井水は飲用基準もクリアーするほどのきれいなものであり上水使用もゼロとなっている。

本建物は経験をもとに帰納的に達成された非常に素直で地道な設計となっており、さらにBEMSは設置していないものの管理者のきめ細かい運用により、小規模建築において妥当なコストでの従来技術の組合せによりnZEBの達成は、高い評価をするに値するものである。
(審査委員:奥宮正哉)