リノベーションとまちづくり
時代によって建築に求められる用途や機能性は大きく変化します。
我々は構造躯体としての高い価値がありながら、
その資産価値を下げている建築のストックを生まれ変わらせることにより、
その歴史的価値や都市景観に配慮しながら、
快適な空間と資産価値の両立を実現します。
壊すのではなく、再生する。
都市部の大規模開発とは異なり、地域の資産を活用する手法として、我々のご提案するリノベーションは「まちづくり」にも繋がっていきます。そしてこのリノベーションという手法が環境問題を解決し、サスティナブルな社会を実現するための有効な手法であり、資産価値を高め地域や次世代に求められるコミュニティへを生み出していきます。我々はこのように新しい経済価値を生み出す一棟のリノベーションから、豊かな「まちづくり」をご提案します。
意匠・設備の刷新によりホテルの価値を生まれ変わらせる
1989年に開業して以来、多くの方に親しまれてきたホテルが、訪日客の増加に伴い、「くつろぎをデザインする」という統一のコンセプトのもと、より快適で居心地よい空間にリニューアルしました。2階にリニューアルしたリビングロビーは「もう一つの居場所があるホテルへ」という新しいコンセプトを加え、訪れる人々が自宅のようにくつろげる居心地の良い空間を演出し、友人との談話やビジネス作業など、多彩に利用できる。外観には建築主の要望により地元業者のタイルを使用し、凹凸で陰影のある豊かな表現力を持つタイルによるユニークな外観とすることでホテルの新しい価値を生み出しました。
社員の知的生産性を高めた快適なオフィス空間
元銀行の建物をオフィスへリノベーションしたプロジェクト。元銀行の特徴である1階の天井高さを活かし垂直方向を強調した開放感あるホテルライクな空間としました。また、温熱環境に配慮し内壁全面と1階の床スラブ・2階天井面に吹付発泡ウレタンを採用するとともに、ガラスは全て真空ガラスに交換することにより建物の断熱性能を向上させました。さらに、ウォールグリーンと木質感を連続的に表現することでオフィスとしての「機能性」や「居心地の良さ」だけではなく「知的生産性の向上」を実現しました。
歴史ある街並みを行政と協働で保存活用
中舛竹田荘は、旧東海道沿いの有松街並み保存地区に建つ、有松絞りの開祖竹田庄九郎ゆかりの歴史的建造物である。この建物の老朽化に伴い、取り壊し共同住宅を建築する計画が立てられた。しかし取り壊す直前の2007年7月、有松まちづくりの会と名古屋市から伝統的な街並みを構成するこの建物の保存を求める声が上がりました。これを受け、我々は基本計画と設計を大幅に見直し、有松の旧街道の街並みに調和する外観と事業性の両立を実現しました。この保存事業においては「有松まちなみ保存ファンド募金」が設置・活用され、人々からの賛同を得るとともに、地域の営為や歴史の保存が評価され「第19回愛知まちなみ建築賞」を受賞しました。
意匠・構造的改修と同時に省エネ性能とウェルネスを向上
築100年を超える離れの古民家再生プロジェクト。一度改修を行っているものの、大地震や台風など災害に耐え抜いた歴史や記憶の残る建物でした。しかし解体状況を確認したところ白アリによる食害や構造材の断面欠損が多々ありました。残念ながら大部分は古材を活用できませんでしたが、可能な限り残すこととしリノベーションを進めました。耐震性能向上のため、建築基準法の1.25倍以上の耐力を確保し、制振ブレースを適宜設置、制振性も付加しました。さらに、断熱性能の向上を徹底、汎用品のエアコンを床から吹き出すよう工夫することで、意匠性に加え省エネルギー性能と快適性(ウェルネス)の向上を実現しました。